相続手続きの期限とチェックリスト完全版【7日・14日・3ヶ月・4ヶ月・10ヶ月】税理士が時系列で解説

税理士監修: 吉野貴士 (税理士登録番号 第110044号)·監修者について·最終更新: 2026-07-08

身近な方が亡くなると、悲しむ間もなく手続きに追われます。相続の手続きには**「7日以内」「14日以内」「3ヶ月以内」「4ヶ月以内」「10ヶ月以内」という法律上の期限**があり、過ぎると不利益(過料、借金の相続、加算税など)につながるものもあります。

この記事では、必要な手続きを期限の順番に整理しました。まずは全体像の一覧表から確認してください。

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相続手続きの期限 早見表

期限 手続き 提出先
7日以内 死亡届・火葬(埋葬)許可申請 市区町村
10日以内 厚生年金の受給停止(年金受給権者死亡届) 年金事務所
14日以内 国民年金の受給停止 年金事務所
14日以内 国民健康保険・後期高齢者医療・介護保険の資格喪失、世帯主変更届 市区町村
なるべく早く 遺言書の確認(自筆証書遺言は家庭裁判所で検認)、相続人調査(戸籍収集)、財産調査
3ヶ月以内 相続放棄・限定承認 家庭裁判所
4ヶ月以内 準確定申告(故人の所得税の申告) 税務署
10ヶ月以内 遺産分割協議・協議書作成、相続税の申告・納税 税務署
1年以内 遺留分侵害額請求 相手方(内容証明等)
3年以内 相続登記(不動産の名義変更・義務化) 法務局

「3ヶ月」「4ヶ月」「10ヶ月」の起算日は、正確には「相続の開始(死亡)を知った日」からです。同居の家族なら通常は死亡日と同じです。

【7日以内】死亡届と火葬許可

  • 死亡届 — 死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡した場合は3ヶ月以内)に、死亡地・本籍地・届出人の所在地いずれかの市区町村に提出します(法務省の案内による)。医師の死亡診断書と一体の用紙です。多くの場合、葬儀社が提出を代行してくれます。
  • 火葬(埋葬)許可申請 — 死亡届と同時に行うのが一般的です。
  • 死亡診断書のコピーを複数取っておくのがおすすめです。生命保険の請求や年金手続きで必要になります。

【10日〜14日以内】年金・健康保険・世帯主

  • 年金の受給停止 — 故人が年金を受け取っていた場合、「年金受給権者死亡届」を厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内に提出します。日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は原則不要です(日本年金機構の案内による)。未支給年金(亡くなった月分までの年金)は、生計を同じくしていた遺族が請求できます。
  • 健康保険 — 国民健康保険・後期高齢者医療制度・介護保険の資格喪失手続きと保険証の返却を、14日以内を目安に市区町村で行います。
  • 世帯主変更届 — 故人が世帯主だった場合、14日以内に市区町村へ届け出ます(住民基本台帳法)。
  • 会社員だった場合の健康保険(協会けんぽ・健保組合)は勤務先経由で手続きします。葬祭費・埋葬料の給付を申請できる場合があるので、忘れずに確認しましょう。

多くの市区町村には死亡後の手続きをまとめて案内する「おくやみコーナー」があります。

【なるべく早く】遺言書・相続人・財産の調査

期限のある手続きの合間に、その後のすべての土台になる3つの調査を進めます。

遺言書を探す

  • 自筆証書遺言が自宅などで見つかった場合、勝手に開封せず家庭裁判所の検認を受ける必要があります(裁判所「遺言書の検認」)。
  • 法務局の保管制度を利用した自筆証書遺言と公正証書遺言は検認不要です。法務局への保管の有無や公正証書遺言の有無は、それぞれ法務局・公証役場で照会できます。

相続人を確定する

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を集め、相続人を確定します。誰が相続人になるか(配偶者は常に相続人、第1順位は子、第2順位は直系尊属、第3順位は兄弟姉妹)は国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」で確認できます。

財産を調査する

預貯金・不動産・有価証券だけでなく、借金や保証債務などマイナスの財産も必ず調べます。次の「3ヶ月」の判断に直結するためです。何を・どうやって調べるかは「遺産チェックリスト(登録不要・無料)」で、見つけ方の解説付きで1項目ずつチェックできます。

【3ヶ月以内】相続放棄・限定承認

自分のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、相続を「単純承認する」「放棄する」「限定承認する」を選びます。放棄・限定承認は家庭裁判所への申述が必要です(裁判所「相続の放棄の申述」)。

  • 何もしないまま3ヶ月が過ぎると、原則として**借金も含めてすべて相続(単純承認)**したことになります。
  • 財産調査が間に合わない場合は、3ヶ月以内に家庭裁判所へ期間伸長の申立てができます(裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」)。
  • 相続財産を処分(預金の解約・費消など)すると放棄できなくなる場合があるため、借金の可能性がある間は財産に手を付けないのが原則です。

【4ヶ月以内】準確定申告

故人に事業所得や不動産所得があった場合や、給与・年金の源泉徴収では精算されない所得があった場合、相続人が故人に代わって所得税の申告(準確定申告)を行います。期限は相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内です(国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告」)。

年金収入のみで一定額以下の場合など、申告が不要なケースもあります。判断に迷う場合は税理士に確認してください。

【10ヶ月以内】遺産分割協議と相続税の申告・納税

遺産分割協議・協議書の作成

相続人全員で「誰が・何を・どれだけ」相続するかを決め、遺産分割協議書にまとめます。書き方・ひな形は「遺産分割協議書の書き方とひな形【文例・Wordテンプレート付き】」で詳しく解説しています。協議書は預貯金の解約・相続登記・相続税申告のすべてで使うため、10ヶ月の申告期限から逆算して早めにまとめるのが安全です。

相続税の申告・納税

遺産総額が**基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)**を超える場合、死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告と納税を行います(国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」)。

  • 自分が申告が必要かどうかは「相続税はいくらから?基礎控除の計算と申告要否の判定」で確認できます。
  • 配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例で税額が0円になる場合でも、申告は必要です。
  • 期限までに遺産分割がまとまらない場合は、法定相続分で分割したものとしていったん申告・納税し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して、分割確定後に特例を適用し直す方法があります(国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」)。

【1年〜3年】遺留分・相続登記

  • 遺留分侵害額請求(1年以内) — 遺言などで最低限の取り分(遺留分)を侵害された相続人は、相続の開始と遺留分侵害を知った時から1年以内に請求しないと時効にかかります(民法第1048条)。
  • 相続登記(3年以内・義務化) — 令和6年4月1日から相続登記は義務化されており、不動産の取得を知った日から3年以内に登記申請をしないと、正当な理由がない場合10万円以下の過料の対象になります。遺産分割協議がまとまった場合は、成立日から3年以内に協議内容どおりの登記が必要です。令和6年4月より前に相続した未登記の不動産も対象です(法務省「相続登記の申請義務化について」)。

このほか、預貯金の解約、株式・自動車の名義変更、生命保険金の請求(一般に支払事由発生から3年で請求権が時効になるとされています)など、期限の緩い手続きも早めに片付けておくと安心です。

チェックリストを「自分専用」にする

ここまでの内容を、そのまま自分の状況に当てはめられます。

  1. 相続手続きチェックリスト自動作成ツール(登録不要・無料) — 死亡日と家族構成・年金・不動産・遺言書の状況を入れると、あなたに必要な手続きだけが期限の日付入りで分かります。必要書類リストと印刷にも対応しています
  2. そうぞくる。に無料登録 — 7日・14日・3ヶ月・4ヶ月・10ヶ月の期限ベースで、あなた専用のタスクリストを自動生成。期限が近づくとメールでお知らせします
  3. 遺産分割シミュレーションや協議書の自動作成もそのまま使えます(1人なら完全無料)

よくある質問

相続手続きの期限を過ぎるとどうなりますか?

手続きによって異なります。相続放棄(3ヶ月)を過ぎると原則として借金も含めて相続したことになります。準確定申告(4ヶ月)・相続税申告(10ヶ月)に遅れると無申告加算税や延滞税がかかることがあります。相続登記(3年)を正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象です。期限に間に合わない事情がある場合は、放置せず早めに家庭裁判所・税務署・専門家に相談してください。

銀行口座はいつ凍結されますか?

金融機関が名義人の死亡を把握した時点で凍結されます。死亡届を市区町村に出しても自動的には凍結されません。凍結後は、遺産分割協議書などの相続手続きが完了するまで原則として引き出せなくなります。当面の生活費や葬儀費用が必要な場合には、一定額まで単独で払い戻せる「預貯金の仮払い制度」もあります。

10ヶ月以内に遺産分割がまとまらない場合はどうなりますか?

相続税の申告期限は延びません。法定相続分で取得したものとして期限内にいったん申告・納税し、「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付します。分割が確定した後に、配偶者の税額軽減などの特例を適用して申告し直す(更正の請求など)ことができます。

手続きはどこまで自分でできますか?

死亡届や年金・保険の手続き、遺産分割協議書の作成、預貯金の解約は自分でできる方が多い手続きです。一方、相続税の申告は税額計算・財産評価・特例適用の判断があるため税理士へ、不動産の相続登記も複雑なケースでは司法書士への依頼を検討してください。そうぞくる。では、自分でやる部分をタスクリストとツールで支え、専門家が必要な部分は税理士等につなぎます。

出典・参考(一次情報)

※ 世帯主変更届・国民健康保険等の届出期限(14日以内)は住民基本台帳法・国民健康保険法等に基づきます。運用の詳細はお住まいの市区町村にご確認ください。

※ 本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の事情に応じた税務判断は税理士にご相談ください。

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この記事の監修者: 税理士 吉野 貴士税理士登録番号 第110044号

相続税申告を扱う現役の税理士が、税額・期限・法令の記載を国税庁等の一次情報と照合したうえで監修しています。 個別の税務相談は税理士にご相談ください。

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